梅雨どきのじめっとした日によく見かけるのがカタツムリとナメクジ。カタツムリもナメクジも、似たような体をしていて、カタツムリはナメクジが殻を背負っているだけのように見えますよね。
実はこの二つ、同じ生きものと思ってしまいがちですが、実はいろいろな違いがありました。
そこでこの記事では、カタツムリとナメクジの違いについて解説します。
「カタツムリの殻を取るとナメクジ」ではなかった!
単純に「カタツムリの殻を取るとナメクジになる」と思っている人も多いのでは?私もそう思っていましたが、まったく別の生きものなんですよ。
カタツムリは「陸貝」という陸に生息する巻き貝の仲間で軟体動物、肺があります。
一方、ナメクジはカタツムリと同じ軟体動物で、陸に生息する巻貝のなかで貝殻が退化した種類のことです。
貝があるかどうかが、カタツムリとナメクジの大きな違いですね。
ナメクジはカタツムリにならない
ナメクジが成長したらカタツムリになるの?という素朴な疑問を持つ人も多いですよね。
答えは、なりません。
ナメクジの貝は退化してしまっているので、大きくなっても殻が出てくることはなく、ナメクジはナメクジのままです。逆に、カタツムリの殻を取ってもナメクジにはなりません。
ナメクジが殻を背負っているわけではなく、カタツムリの殻を無理に取ろうとするとカタツムリは死んでしまいます…!好奇心があっても、カタツムリの殻を取るのは絶対にやめましょう。
カタツムリの殻って何?
貝を持っているのがカタツムリ、ないのがナメクジということですが、カタツムリが背負っている貝にはどんな特徴があるのでしょうか。
カタツムリの背中の殻は体から染み出した「石灰分(せっかいぶん)」という成分でできていて、これはアサリやハマグリのような一般的にイメージする貝と同じ成分です。
ヤドカリのように殻を着替えることはなく、生まれたときから殻を背負っていて、カタツムリの殻は生涯成長します。殻も生きているので、殻に少しヒビが入った程度なら何日かたつと治るそうですよ。
似た生きものであることは確か
殻のある・なしがカタツムリとナメクジの違いを分けます。
でも、基本的には同じ種類の生きものなので、性質はよく似ているんですよ。
どちらも寒いのが苦手なので、冬は冬眠しています。湿気がないと生きていけないので、梅雨どきになると活発になります。寿命はどちらも3年程度ですが、外敵が多いため野生の環境では1年程度といわれています。
カタツムリとナメクジに触る時の注意点2つ!
一般的には殻があるカタツムリはなんだかかわいく見えて、殻がないナメクジは気持ち悪い害虫だと思われることが多いのでは?
小さな子供はカタツムリを見つけると、やたらとさわりたがりますよね。触角をさわると慌てて引っ込める姿が面白くて、小さいときにさわった人も多いと思います。
カタツムリもナメクジも体がぬめぬめしているので、子供が素手でさわっても大丈夫なのかが心配になるかもしれません。
カタツムリやナメクジをさわるときの注意点
カタツムリやナメクジをさわるときに気をつけたいのはできるだけ素手でさわらないこと、さわったときは手をよく洗うということの2点です。
カタツムリやナメクジ以外の生きものもそうですが、人にうつる感染症や寄生虫などを持っていることがあります。
手袋をつける、そして、さわったあとは手をよく洗うことで対策しましょう。
さわるだけじゃない、通ったあとにも注意
カタツムリやナメクジは主食として葉物野菜を食べます。ナメクジなどが通ったあとは、ぬめぬめして光っているのでよくわかりますよね。
葉物野菜は食べる前によく洗うことが大事です。
加熱する場合はそれほど問題ありませんが、葉物野菜は生で食べたりジュースやスムージーにしたりと、加熱しない場合もあります。
とくに産直市などで購入した新鮮なとれたて野菜は要注意です。小さなカタツムリやナメクジがついていることに気づかず、そのまま食べると大変なことになるかもしれません。
カタツムリは危険な生きもの!?
カタツムリは、さまざまな寄生虫を持っているといわれています。タイや中国を中心に海外では死亡例も多く、日本では沖縄で一件の死亡例があります。
ただ、これは巻貝を生で食べたことによるもので、日本では一般的に生で巻貝を食べる習慣はありません。
カタツムリに寄生するのは「広東住血線虫(かんとんじゅうけつせんちゅう)」という寄生虫で、幼虫の時期をナメクジやカタツムリなどの中間宿主の体内で過ごし、大きくなるとネズミなどに寄生します。
日本で唯一の死亡例が出た沖縄では、広東住血線虫の中間宿主となるアフリカマイマイが生息しています。本土でよく見るカタツムリと違って巻貝を背負っている大型のカタツムリなので、沖縄に旅行に行くときには注意しましょう。
まとめ
カタツムリとナメクジは似て非なるもの。
殻があるのがカタツムリ、ないのがナメクジですが成長したら殻ができるというわけではなく、もともと違う生きものです。
梅雨どきによく見かけますが、かわいいと思っても素手でさわるのは少々危険な生きものです。さわるときは手袋をつけたり、さわったあとは手をよく洗うなどしましょう。
寄生虫を持っている可能性があるため、カタツムリやナメクジが主食とする葉物野菜は調理の前によく洗う、できるだけ加熱して食べるなど、注意が必要です。
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